鉄道紀行

鉄道紀行 宗谷本線
北星駅・美深駅の旅なのだよ。

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宗谷本線の旅、2日目の予定は明白であった。


朝7時発の列車に揺られ目指したのは、廃駅が既に決定している〝北星駅〟。

この駅に止まる列車は1日4本しかなく、日中他の駅に乗り降りする事を考えると この時間の列車しか無かったのである。


いつもなら繁華街が多い地域に宿を取るが、この日の為に前日は〝名寄〟へ1泊。

予想以上にシャッター街と化していたゴーストタウンでの飲み屋探しは、おかげで苦戦を強いられてしまった。。。



そうまでして、何故に北星駅へこだわるのか。

理由は、前々から愛読しているある鉄道ブログを見て是非行ってみたいという気持ちが高まったことにあるのだが 私が一目惚れに等しい感情を持った駅の外装がコチラである。









荒野にポツンと佇む、この強烈な見た目。

赤のホーロー看板に白文字でデカデカと「毛布の☆北紡」と書かれているが 無論これは駅名ではない。



「北紡」とは旭川市内にあった紡績会社であり、全道農協・ホクレン・雪印が出資していたそう。

言わば旭川一帯のの協力なスポンサー的役割を持っていた事で、何故かこの北星駅にさも広告がわりの様に取り付けたものの、現在会社は倒産。

以後も長年取り外される事なくスポンサーの名前だけが残り、現在の怪しげな姿を残したまま駅舎が建っているという訳である、、、撤去代も無いなんてお金が無さすぎるぞ北海道!
















気になる駅舎内は雪掻きの道具と最低限の時刻表と駅ノートのみ。

窓はガラスでなく、何故かビニールシートが貼られているが 万が一に乗り遅れて取り残されたら凍死確実レベルで寒い。









ホームは仮乗降場(当時学生等が乗り降りで使用していた臨時の非公式駅)のままであり、貧乏な北海道の駅らしくシックリとくるシンプルデザインである←






改めてマジマジと見ていると、周囲には人が住んでる気配のない建物が数件あるばかりで駅だけが異様な空気を醸し出していた。

鉄ヲタ基準で申し訳ないが、日本の駅でも有数の珍百景に入るのではないかと思う。




この日、廃駅を知って訪れた同業者(鉄道ヲタク)たちも筆者を合わせると4人程おり 平均1日に1人しか降りない駅は、細やかな賑わいを見せていた。


次の列車までのわずかな時間。

珍百景を楽しんで、再びホームへ戻り鉄道を待つが 何分経ってもその姿は見せない。

いくら快速が特急が止まらない駅といいつつも、流石におかしい、、、。




同じく不審に思ったのか同業者の1人がスマホで調べ我々に連絡を回してきてくれた。

こういうピンチの際のヲタクの絆は固い。


「どうやら前の駅で鹿と衝突して止まってしまった様です」


、、、なんと!!

確かにこのあたり一帯では鹿が頻繁に出ると聞いたが、その言葉を耳にした時は衝撃的であった。

幸いにも列車は少しの遅れで発車できるとのそうだが、ヘッドに鹿のミンチが付いているのではないか、、、と少し不安を覚えた。

更に数十分後、やっと姿を表した恐怖のミンチ列車は心配していた肉片はどこにも無く いつもと変わりない綺麗なステンレスを保ったまま到着した。









きっとJR北海道の社員は、動物衝突処理の研修を頻繁に行なっているのだろう(多分)。

静かに鹿の成仏を祈り再び列車に揺られ、次の目的地を目指した。




1時間ほど高原地帯を走り到着したのは、〝美深駅〟。







今年10月にダイヤ改正の為、廃駅が決定したニュースと同時に加えて9駅の無人駅化が発表された。

この美深駅も残念ながらその対象である。



美深駅と言えば、国鉄時代に美深駅を起点に延びていた美幸線の出発駅としても鉄ヲタの中では有名な話。

日本一の赤字路線としてテレビでもたびたび紹介されたが、地元の有志でその話題性を逆手に取った観光客の誘致活動までされていた。

しかし、昭和60年には惜しくも廃線になってしまった路線だか この駅舎の2階には現在も美幸線の資料館が設置されているのである。



この資料館を見る事も、今回の旅の目的だった為 じっくりと拝見させていただく。
















展示室は広くはないものの、街一丸となって存続活動をしていた記録が大事に展示されており 時代背景を知らない自分でも見ていて胸を締め付けられるものがあった。。。













美幸線は美深駅と興浜北線(昭和60年7月廃止)北見枝幸駅を結ぶ路線として昭和30年代半ばに着工。

昭和39年に仁宇布駅までの約19キロが開通したものの、黒字転換が見込めないことから工事は中断。

未成区間の路盤工事がほぼ完成したままの状態で廃止されてしまったという残念な結果に終わってしまったのだ。










美幸線と縁起のいい路線名とは裏腹に悲しい歴史が多く刻まれた路線であり、更には駅舎が無人駅化するとは下手なメロドラマよりも悲劇的だと思う。





展示室入り口横には、駅舎改築の際 屋根に「美幸の鐘」が設置されたとの説明が記載されてあった。








残念ながら、自分はその音色を聴くことは出来なかったが 世界のYouTube様にその貴重な動画があがっていたので、興味を持った方は是非聞いて見て欲しい。


【宗谷本線】美深駅 美幸の鐘 Sound of the bell of the Bifuka sta in Hokkaido Japan.







悲劇的な歴史に触れ、少し憂鬱な気分になりつつもせっかくなので周辺を散歩してみることに。

予定では、ここから数キロ離れた場所に温泉施設があるらしく 加えて、隣接のレストランで食事も出来るらしい。







これは、我ながら良いプランを思いついたのではないだろうか。

静かに湧き上がるワクワク感を抑えつつ、冷め切った心体を温めるために颯爽とバスへ乗り込むこと数十分。

街随一のレジャースポット「びふか温泉」で下車するも、なんと施設はレストランと共に臨時休業の張り紙が貼ってあったのだ。。。



、、、またか!(←初日に来訪予定のカフェも休業日だった)

まさか、成仏しきれなかった先程の鹿の呪いではあるまいな。。。




あまりにもタイミング良すぎる臨時休業に肩を落とすも、周辺を歩き回ると「チョウザメ館」という建物があることに気づき せっかくなので暇つぶしに入ってみることにした。








館内には、他に誰も見物客はいなかったが 

これでもか!という様にチョウザメの標本・説明が展示されている。












おまけに水槽では大量のチョウザメ達が泳ぎ回っているではないか!!








水槽に近づくと、〝食ってやろうか〟と挑発的に口をパクパクさせて近づいてくるサメが何とも愛くるしい←







資料に目を通すと、

昭和初期まで美深近くの天塩川や石狩川という川にチョウザメが生息しており、身や卵は人々の貴重な食糧として扱われていたのだそう。

そして、20年後寒冷地での飼育実験として美深町の三日月湖に300尾を放流し養殖事業がスタートしたのだと言う。

つまり、美深はチョウザメの養殖事業が盛んな場所であり 街のシンボルとして挙げられる程のチョウザメ大国だそうな。






そう言えば駅周辺を歩いた時に、チョウザメの絵が描かれたマンホールを見たような。。。





(ちゃっかり写真まで撮影していた←)





美深って、美幸線の歴史以外にも実は凄い街なのでは?

徐々に膨らんでいく好奇心のままに、館内の奥へ行くと、、、








チョウザメの餌やりガチャガチャまであった!!



せっかくなので、自分も体験してみる。

カプセルを開くと100円では、コスパが良すぎる程に餌がギッシリ。






水槽は、手前から成長段階で分けられており 手始めに幼いサメ達に餌をやってみる。







1匹ヒラヒラと集まってきたと思えば、、、






数秒後大量の子ザメ達が群がって来た!!









このサメ達、まさかこの餌やりだけで食事を賄っているのではないだろうな。。。

何やらこちらが餌を与え続けなければならない という使命感すらも湧き上がって来そうである。






自分の昼飯を食べるよりも先にチョウザメに餌をやっているとは、よくよく考えればどこか滑稽なようにも思えるが 

先程までの憂鬱な気持ちは晴れて、すっかりチョウザメの虜になりつつあるのであった。


今度こそ、鹿も成仏してくれたであろう。。。



幸い調べたところ、近くにカフェも営業している様だし そちらで昼食を取ることする。

チョウザメ館からカフェへ向かう道の途中、大きな川に掛かる橋があったので 天気も良いし河原へ降りて身体を休めてみた。







降り注ぐ太陽に反射してキラキラと光る川が、より一層私の心を光合成してくれている様にも感じる。

美深には、辛い過去ばかりだと勝手に思い込み悲観的になっていたが こうも美しい景色と素晴らしい産物が残っているのだ。











世の中には、まだまだ自分の足で現地に行き実際見るまでは分からない事が沢山あるのだなと改めて痛感しながら 広い青空に向かって大きく背伸びをした。



〜宗谷本線の旅 二日目の経路〜

名寄駅→北星駅
北星駅→名寄駅

名寄駅→美深駅 (特急宗谷)

美深駅→美深温泉前(宗谷バス)

美深温泉前→恩根内駅

恩根内駅→紋穂内駅 

紋穂内駅→美深駅 

美深駅→稚内 (特急サロベツ1号)




〜宗谷本線の旅 三日目の経路〜

稚内駅→抜海駅
抜海駅→稚内駅
稚内駅→旭川駅 (特急サロベツ4号)
旭川駅→旭川空港 (旭川空港バス) 

※全て『AIR DOきた北海道フリーパス』にて乗車

コメント

  1. haku3san より:
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    北海道紀行文の後半を愉しく読ませていただきました。
    北海道の鉄道事情が良く判ったような気がします。
    また、美幸線なんて素敵なネーミングですが、この件に何人が気が付きますかね!
    続編を書いてくれてありがとう

  2. わか より:
    このコメントは非表示です。

    2枚目の写真の電車の寂れっぷりがすごい・・
    田舎をさらに田舎にしたような風景はなかなかいいもんですな( ˘ω˘ )

  3. 浅井レッツゴー (あるぷす1号) より:
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    鹿だけに
    Oh, dear (deer) !!

    f(^^;

    北星駅、行きたかったなぁ…

  4. modoki より:
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    お疲れ様です!!!

    1枚目の電車が色的にも

    かっこいいな~と

    2枚目は昔乗ったことある

    東横線? そんなわけはないけど

    あつ森関連でチョウザメは

    ちくっと興味をそそられました

    読ませる感じでいつも

    楽しく読ませて貰ってます

    ではでは体調気を付けて

    逢えるのを楽しみに(*≧∇≦)ノ

  5. senpai_noririri より:
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    しょっぱなの北星駅の寂しさから一転、
    突然のグロ展開にならず一安心でした笑
    わが電友も先日北海道で熊と衝突したらしいし、自然が豊かすぎるぞ北海道!笑

    あれだけの大自然、たしかに鹿が出ても熊が出ても鮫が出ても不思議が無い
    ・・・鮫?チョウザメ?!
    美深はチョウザメを養殖してるとは初耳でした!
    北海道の海の幸は抜群だけど、まさかキャビアまで網羅しているとはおそるべし北海道・・・笑

    二日目もなかなかの波乱万丈っぷりでこれぞ旅のだいご味だね~
    トラブルもネタになると思うと順調な旅より波乱万丈旅のが楽しくてしょうがない派←

    美幸線の歴史、背景も興味深かったです。
    いつか行く宗谷本線・廃線を巡る旅の参考になりました!
    なるべく暖かい時期に行こう笑

    今回の旅行記も楽しかったよー!

  6. sakurakouji_sasa より:
    このコメントは非表示です。

    涼花ちゃんこんばんは
    昨日はありがとう!
    涼花といると楽しすぎて、いつも時間があっという間だよ(^^;)

    それと合格おめでとうを直接言えて良かったよ
    努力は必ず報われるとは言えないけど、やっぱ結果が出たほうがうれしいよな。
    よくがんばりました!

    今週木曜日は、予約が取れるかわからないけど、運がよければまた会いに行くよ。

    映画観たり、ブログ書いたり、ゲームやったり、クルマ乗ったり、いろいろ忙しいとは思うけど、あんまり無理すんなよ。身体が一番大切だぞ!

    じゃあ、また(^^)v

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