鉄道紀行

鉄道紀行 宗谷本線
比布駅〜塩狩駅の旅なのだよ。

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2年ぶりに訪れた北海道は、10月というのにヒンヤリとした空気に包まれていた。

政府からGOTOキャンペーンなるものが大々的に取り上げられ、コロナもそこそこに落ち着いた最中の鉄旅だった。




今回の目的は、北の端「稚内駅」へと繋がる宗谷本線の18駅もがコスト削減で廃止になるニュースを受けて、いくつかの駅を乗りつぶしをするためのものである。

元々廃止の候補の対象には入っていると噂されてはいたが、明らかにコロナ問題がトリガーとなって決定したのだろう。

JR北海道は、相変わらず苦しい赤字経営が続いており、管理を費用面も含め自治体に委ねる施策を実施している程であった。



そういえば、2年前に北の大地を踏んだ時も石勝線 夕張支線の廃止で訪れていた。

留萌線一部廃止、石勝線廃止、きっかけを逃して乗れなかったが花咲線の廃止。

北海道の旅は、いつも心を満たしてくれるが、その旅のどれもが後に悲しい結末が待っていると思うと少しセンチメンタルな気分になった。






もはや見慣れた千歳線から旭川に乗り換えし、久々に対面を果たしたキハ40。






姿を見て、長く遠距離で会えなかった恋人に会ったような気持ちになる。

無論、そんな気持ちは味わったことは無いが(多分この先も味わうことはないだろうが、、、)長く乗客を運んできた哀愁あるその姿に、人間よりも魅力的なものを感じてしまう。








トコトコと優しい揺れに連れてこられたのは、「比布駅」







あの彼の有名なピップエレキバンのCMに使用された駅でもある。


1984CM ピップエレキバン2 樹木希林



CMに起用された経緯は、旅行中の大学生が比布駅を発見。

名前が同じという理由で「是非、ここでCMを録って欲しい」と79年に署名活動を展開したのがキッカケだったという。





撮影は、1980年の6月に行われたが、当時から本数が少なかった宗谷本線。


午前中唯一の急行列車が駅を通り過ぎるのを狙って撮影した為

〝もしうまく撮影できなかった場合は次の夕方まで待たなければならなかったので、緊張感あふれるものだった〟

と樹木希林さんの言葉が駅のポスターに残されていた。








今はもう無人駅だというのに掲示板の広告はよく整備されており、駅舎内も綺麗に保たれている。











予定では、比布駅に隣接されているというカフェでバスの時間をマッタリ待つ予定だったが、なんとそのカフェは定休日!








旅には、アクシデントが付き物だがさっそく地雷を踏んでしまった感がある。。。




仕方がないので、早めに駅舎を出て10分ほど歩いた場所に位置するバス停へ向かった。

ポツポツと家は立っているものの誰も道路を歩いていなかった。


30分待って、ようやく来たバスにもひとっこ1人誰も乗り合わせておらず、おまけにガタガタと激しく揺れて今にも壊れて飛んでいきそうなドアが臆病者の私には妙な恐怖感を与えた。。。








降りた停留所は、北5線11号。







これ、停留所の名前なのか?と首を傾げてしまいそうだが、北海道にはよくある名前だそうだ。




見事に広がる田園風景を少し歩くと、物置小屋のようなものと線路が見えてくる。









何を隠そうこのズタボロな小屋こそが「北比布駅」なのだ!(褒め言葉である)






こちらは廃止に含まれている駅の一つであり、見るからに誰も下車しなさそうな雰囲気がプンプンと漂っていた。

付近には、遮るものは何もなく青い空と田んぼ、畑、荒野、、、(←全部一緒じゃないか)







いよいよ、旅が始まったな と妙にワクワクした気分になりつつ写真を撮影していると、遠くに何かゆらりと動く黒い影が見えた。。。

次に来る鉄道は何にせよ一時間後なので、せっかくなので、その影の正体を確かめようと付近まで行ってみることに。





いったい、謎の黒い影の正体とは、、、、








牛であった!ー


なんと黒い影は、駅前で放牧して買われていた牛だったのだ。

まさか、こんな所で牛が間近で見れるとは!これぞ北海道ならではの光景である。



しかも、人に慣れているらしく眺めていると筆者の元へ近づいてくる者もいた。

そして、よく手入れされている為か何よりも毛並みが美しい。








ありがたく、カメラ目線をいただきつつ興奮して撮影する筆者。

その後ろに家主らしき御婆さんが近づいてくるのも気づかずに。。。




声をかけられた瞬間は、正直ヤバい、通報される…..とビビりまくったが、、、ここは何と言っても北海道。

「そんな所で写真撮ってないで、もっと近くにいらっしゃい」




にこやかな笑顔で声をかけて下さったのだ。

北海道の人は、なんて心が広いのだろうか、、、!



飼育されている小屋まで連れてきてもらいながら、軽く雑談をしつつ まだ生まれて間もない子牛たちを撮らせてもらった。








きっと御婆さんが愛情いっぱいに育てているからか、写真からも分かる通り優しい目をしている。

この子達はある程度大きくなったら、食用の牛として売られていくのだが、 飼育している間はなるべくストレスを溜めないように気を遣いつつ育てているとのことだ。


説明しながらも「触っていいよ~」と悪のコロナ大国 東京から来た筆者にも貴重な牛に触れさせて貰った。

おまけに、おばあさんと笑談している姿を見ていたのか、奥で働いていた息子さんらしき人物も出てきて

「東京からわざわざこんな所に、、、良かったらどうぞ。」

ご好意で缶コーヒーまで、いただいてしまった。





飲み物の温かさには勿論のこと、その人の温かさに少し名残り惜しさを感じながら手厚く礼を言い、再び北比布駅まで戻るのだった。

本当はもっとここに居たい、、、と後ろ髪を引かれながらも、どうしても今日中に降りておきたい駅がいくつかあったのだ。







特にその中でも想いが強かったのが、ここ「塩狩駅」





塩狩駅は、実は鉄道ファンと一般客に密かに有名な駅であり、その理由いくつか挙げられる。

まず第一に当時のSLブームの最中、標高273メートルの塩狩峠を力強く超えるSLの写真が撮れることから、多くの鉄道ファンが訪れていた有名な撮影スポットだったという事。



また、もう一つは言わずと知れた三浦綾子さん著書の小説「塩狩峠」の舞台でもある

そして、忘れてはいけないのが塩狩峠とは実際に現実で起こった事件を題材にした話という事だ。


事件を大まかにまとめると、、、

明治42年2月28日、塩狩峠を通過中の列車が頂上付近で異常解結する事故発生

→連結が外れた最後尾の車両が逆走

→車掌が手ブレーキを操作して、これを制止

→乗客は全員無事だったものの、車掌兼運転士だった長野さんは列車を制止する際に車両に巻き込まれ犠牲になった、、、という経緯だ。





そして、その惨劇は駅に近くにひっそりと立つ石碑が物語っていた。








列車の分離事故を防ぎ、ただ一人犠牲となった長野政雄さんの顕彰碑である。

本当は、こういう物にカメラを向けるのは少し抵抗があり 申し訳ない気持ちにもなるが。。。

鉄道好きとしては、どうしてもこの場所に来て手を合わせておきたかった。


ありきたりな言葉で恐縮だが、この様な惨劇が二度と起こらないことを祈りばかり。

また、普段の生活でもどんなに忙しい都会のラッシュでも、それがまた辺鄙な場所でさえも限りなく正確な時間で我々を運んでくれる日本の鉄道は、いつでも鉄道会社の方々の頑張りや努力が必ず背景にあることを忘れてはいけないのである。





駅を出て、国道沿いに出ると著者 三浦綾子さん旧宅が丘の上にあるのが見えた。







ここは執筆活動に入る前、雑貨屋を営んでいた時代に住んでいた建物だ。

元々は旭川市内の別の場所にあったが、建物解体前に小説の舞台でもあるこの地に移設されたという事だ。


見学したい気持ちは山々だったが、次のバスまでの時間があと僅かと迫っていたので泣く泣く離れることにする。







バスを待っている少しの間、東比布の牧場でもらった缶コーヒーを開けて口をつけるが、湯たんぽ代わりにしていた缶は、すっかり冷え切っている。

雲の隙間から漏れる西日に照らされた峠の風景を眺めながら味わっていると、色々考え深い気持ちになり より一層コーヒーの苦味が増したような気がした。






〜宗谷本線の旅 一日目の経路〜

新千歳空港→札幌駅(快速エアポート)
札幌駅→旭川駅(特急ライラック13号)

旭川駅→比布駅

比布駅→北5線11号(道北バス)

北比布駅→塩狩駅

塩狩駅→剣淵駅 (道北バス)
剣淵駅→風連駅 (快速なよろ3号)

風連駅→多寄駅

多寄駅→名寄駅



※全て『AIR DOきた北海道フリーパス』にて乗車

コメント

  1. わか より:
    このコメントは非表示です。

    古すぎてそんなCMみたことない・・(笑)
    今回の旅は見事なまでにわびさびの錆の部分が協調されてますな・・
    鉄道話にもいろいろあるんだねぇ。毎度旅先のお年寄りにお世話になってるようなきがするのはきのせいなのか( ˘ω˘ )

  2. haku3san より:
    このコメントは非表示です。

    北海道に行ったことがないので、旅の話がとても勉強になります。
    東京に住んでいると便利になって逝くのに、人里離れるとどんどん廃止になっていきますね!
    民主主義って本当に正しいのか?
    次の話も楽しみにしてます。

  3. senpai_noririri より:
    このコメントは非表示です。

    比布駅まさかホントにエレキバンのCMやってたとは知らなんだ笑
    署名活動の末のCMだったのだね!なんか浪漫があるなぁ(´∇`)
    カフェは残念だったね。ピピカフェはアップルパイが美味しいと駅メモer的にも有名でございます笑

    先日のインスタの写真は北比布だったのかな?見渡す限りの荒野!笑北海道のでかさを感じますな。ステキな出会いもあったようで読んでいてもホッコリしたですよ。

    塩狩駅にはそんな悲劇のエピソードがあったのだね。日本の鉄道は毎日正確な時間に乗客を運んでくれるけど、それは当たり前のことではなくて。背景にある鉄道関係者の努力に改めて感謝ですね。

    北海道旅行記1日目、楽しく拝読させて頂きました!ここ数日、北海道はコロナが急激に広まっているとの報道が出てるし、年内来訪のタイミングとしては結果的に最後のチャンスだった感じだね…ナカダはまだ宗谷本線訪れてないので、廃線までに再度来訪の機会がありますように…!

    2日目の旅行記も楽しみにしてまーす!

    • 佐藤 より:
      このコメントは非表示です。

      北海道のゆったり時が流れる感じが、文章からまた写真からも受け取られ、ほっこりしました。コロナでせかせかしてる日常を反省です。
      列車事故のことは、初めて知りました。ご冥福をお祈りいたします。日本の鉄道の正確さ安全性は世界一と思います。
      入院中のベッドから、通過する碧のやまびこ号見ながら書いてます。

  4. しみ〜 より:
    このコメントは非表示です。

    北海道レポートありがとうございます。
    楽しく読みました。
    北海道フリーパスなんてあるんだね。
    知らなかった〜
    色々行っているけれど知らないところもあってほんと読んでて楽しい〜
    子牛はほんと目が綺麗でした〜(笑)

    読んでいたら北海道行きたくなっちゃったよ〜
    コロナ凄いから当面自粛だけど…
    中編、後編も楽しみにしてます。

  5. modoki より:
    このコメントは非表示です。

    お疲れ様です!!!

    北海道騒がれてましたが

    無事戻られてなによりです

    ではではまた

  6. sakurakouji_sasa より:
    このコメントは非表示です。

    涼花ちゃんこんばんは
    元気かな?

    「鉄道紀行」(第一夜)興味深く読ませてもらいました。
    涼花ちゃんの体験や思いが素直に表現されていて、文才のない自分にもとてもわかりやすく伝わってきたよ。
    涼花ちゃんは人を惹きつける文章を書ける人だね。
    やっぱ才女や!

    「森田の陶器市」では、まさかの当選ありがとう(^^)
    いつも運がない自分が当たるとは思ってなかった。。。本当にうれしかったよ!

    来週の21日(土曜日)に、もし涼花ちゃんが出没予定で、運良く予約が取れたら受け取りに行くよ。
    まあ、もう強運を発揮してしまった後なので、二度目はないかもしれないけど・・・
    とにかく、毎日サイトのリロードをばしばしして、出勤チェックするから。

    それでは、試験がんばって!
    でも、万が一残念な結果になっても命取られるわけじゃないと思って、「平常心」で試験に臨もう!
    遠く東北から応援してるよ!(^^)!

    最後に、体調崩さないように暖かくしておやすみ(^_-)

  7. 浅井レッツゴー (あるぷす1号) より:
    このコメントは非表示です。

    「トム宗谷の冒険」その1 ですね。
    道内では(SL列車よりは機動性の良い)気動車が出始めた頃、開拓民の便宜をはかり、駅間の途中の集落に「仮乗降場」を設置した時期がありました。中にはホームが学校の朝礼台くらいの長さしかない場所も…よく運転士さんが器用に停めれたよなぁ、と。
    そんな仮乗降場あがりも多い小駅ですが、集落ごとなくなっちゃった場所がたくさん、ここ数年で廃止(一部は信号場として行違い設備だけ温存)されちゃってますね。石北の奥白滝だったかな、たった1人の高校生が通うためだけに廃駅を延期し、その子の卒業を待って廃止されたとニュースになりました。
    淋しさもありますが、停止からの再加速って燃料を結構消費するから、仕方ないのかな?

    ところで、「花咲線」は根室本線(釧路~根室)なので、まだ残ってます。札沼線(北海道医療大学~新十津川)のこと、かな??
    その札沼線も、元は新十津川から先、雨竜町や北竜町を経由し石狩沼田まで行ってました。昔は架橋技術が未熟で、石狩川に何本も橋を架けられなかったから、函館本線の対岸にも線路を敷く需要があったみたい。
    ところが、時代が進み架橋技術が進歩すると、橋を渡って函館本線側への往来が便利になっちゃった。特に新十津川駅から3kmで滝川駅へ行けるようになったのが、命運を分けたようですね。浦臼から江部乙、月形から岩見沢(マイカーだと三笠IC、江別ICへ小一時間)へ結ばれてからの凋落は…

    長文ごめんなさい。

  8. sakurakouji_sasa より:
    このコメントは非表示です。

    こんばんは。
    オールクリアおめでとう!
    秘書検定もお疲れ様でした。
    11月はいろいろがんばったね。

    ということで、21日に見事に予約ゲットできたので、久しぶりにお邪魔します。
    今年最後になるかもしれないので、いつもどおり楽しく過ごせればうれしいよ。
    とりあえず、何か食べるもの買っていくけど、インパクト重視でいくかもしれないので、味は期待しないでくれ(^_^;)

    では、土曜日に会えるのを楽しみにしてるよ
    風邪ひかないように、ぽんぽん冷やさないようにな(^^)

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